パートナーのkuniちゃんは、パニック障害で一時期、電車にすら乗れませんでした。

でも、去年から沖縄、サイパンと飛行機に少しずつ乗れるようになってきました。

そういう中で、先日、kuniちゃんが仕事のひとつとしたやっているコーヒーのビジネスで、「サンアントニオへ一緒に行こう」という仲間からのお誘いがありました。

みんなと一緒に行きたい。…でも、14時間もの飛行時間はまだできるほど体と心は回復しきっていない。

…どうしよう?と考えるkuniちゃん。

でも、わたしたちの身に、考えられないような不思議な出来事が起こったのです!

その日、わたしは本屋で一冊の本を買いました。

「アルケミスト」という本です。

本を購入して、早速、読みはじめたかったので、近くのホテルのロビーに行ってソファーに座り、この本を読み始めました。

ラウンジ

アルケミストというのは、簡単に言えば、何でもないものを金に変えてしまう「錬金術師」のことで、この本にはひとりの羊飼いが夢を追いかけて叶えるまでがドラマチックにやさしく描かれています。

その過程で、どのようにしたら夢が叶うのか?何を道しるべに進めば良いのか?のヒントが貰える本です。

読んでいて、物事が起こる前には「前兆(前触れ、予感、虫の知らせ)」が必ずあって、それを道しるべとして従っていくという事が書かれていました。

本を読み進めていったら、ふと、わたしの心の中で「サンアントニオにわたしが行ったらどうだろう?」という思いが過りました。

「え?誘われているのはkuniちゃんなのに、どうしてわたしが行くの?

仕事に直接関わっているのはkuniちゃんで、わたしはお手伝いしているだけだし。

もし、ふたりで行ったらお金だってすごくかかっちゃうし、そんなことできないよ〜!」

と、自分の心に浮かんだ言葉が、あまりにも唐突すぎて、ビックリしました。

そして、もっと驚いたのは、瞬時にその疑問に応えるかのように、「本当はひとりでだって行けるんだよ」という言葉が浮かんだのです。

これは「アルケミスト」の本に書いてある「前兆」ってやつかもしれない。

…でも、ただ浮かんだだけで何の意味も持たない「思いつき」だけなのかもしれない。

ふたつの気持ちの間で大きく揺れて、じっと座ってなんていられないような気持ちになって、「kuniちゃんに言わなきゃ」という衝動に襲われ、電車に乗って急いで家に帰りました。

そして、kuniちゃんに「わたし、サンアントニオに行く!ひとりでも行く!」と言ってしまいました。

突然、今まで考えてもいなかったようなわたしの言葉に、kuniちゃんも驚きました。

そして、2時間3時間…、ゆっくりと心が落ち着いた頃。

「ボクもサンアントニオに行くよ。ESTAを申請して、航空券を確認してからみんなに言うよ」と決心したのです。

人生初の14時間もの飛行機に、チャレンジする!と決めたkuniちゃんでした。

ネットでESTAは無事に取得することができて、航空券を調べたとき、行きも帰りも満席。

仕方なく前後の延泊を考えても、すでに席は無く…これじゃ6泊くらいになってしまって、かなりの旅費になってしまう…。

「おかしいなぁ。もし、あれが前兆の言葉だとしたら、もっとスムーズに行くはずなのに…」

それから数時間探しましたが、あまりにも航空券もホテルも無さ過ぎて、疲れてしまいました。

「前後延泊して、こんなに長く、そしてこんなに予期しなかったほどたくさんのお金を使うなら、ハネムーンでハワイに行くわたしの長年の夢を叶えたいくらいだ!」とすら思いました。

わたしはkuniちゃんと結婚して、ハネムーンはハワイに行って、ハワイアンジュエリーのエンゲージリングを指にはめたい!と思っていました。

そして、できれば常夏のハワイで暮らしたい。

そういう理想を描いていました。

でも、kuniちゃんがパニックに倒れ、会社勤めはできなくなり、飛行機どころか電車にも乗れなくなり、収入もなくなり大変で、それどころではなくなっていました。

ふいにケータイ電話が鳴りました。その着信音で我にかえりました。

電話は友人からでした。

「いま、ハワイから帰ったよ。今回はハワイの銀行に口座も作っちゃったよ〜。」と。

「え?!ハワイの銀行の口座って、日本に在住していても開く事ができるの?!」

その瞬間、わたしとkuniちゃんはほぼ同時に「サンアントニオじゃなくてハワイに行こう!」と声にしていました。

わたしもハワイに行って銀行口座を開きたい!!!!そう思ったのです。

だって、ハワイに住んでいるのなら、ハワイに銀行口座はあって当然。

夢の中の理想のわたしはハワイにもう住んでいるのですから。

 

「kuniちゃん。ハワイに行くなら何日必要?」

「そうだな、銀行口座を作って、カイルアの海にも遊びに行って、ダイアモンドヘッドもみたいし、ホテルの部屋やプールも楽しみたい。海に沈む夕日も眺めたいし、パンケーキも食べ歩きしたいし…6泊は必要だな。」

「じゃ、6泊8日で探しましょう!しかも、せっかくだから3月のわたしの誕生日に合わせて行こうよ!」(←いや、すでにバースデー旅行は前倒しの前倒しで1月に沖縄旅行に連れて行ってもらっているんだけどね)

ということで、次はハワイツアーを探し始めました。

サンアントニオ移動14時間を決心したkuniちゃんにとっては、もうすでにハワイで8時間くらいの移動は「ハードル」ではなくなってしまっていたのです。