パニック障害で倒れた時、一番大きな心配は「仕事」だと思います。

今でこそ、自宅で、通勤ラッシュ無しで、ゆったりとお仕事をしているパートナーのkuniちゃんも、以前は、会社員でした。

働くという以前に、ある日突然、電車にすら乗れないくらいになってしまったのは、とてもショックでした。

彼の背中が、とても小さく見えたのを思い出します。

でも、「電車に乗れなくなった」ということが、kuniちゃんの人生に、色々な新しい可能性を広げてくれました。

パニック障害で仕事ができなくなって会社を休職

パニック障害の発作で倒れた直後、その後1年くらいは、男性として社会的な立場を失くしてしまった事が、ショックすぎて、絶望感ばかりの毎日でした。

1年間、健康保険組合から傷病手当をいただきながら、治療に励んでいたのですが、

相変わらず、電車に乗ると発作に襲われたので、会社に復帰するメドが立たず、十数年勤めた会社でしたが、辞める事にしました。

「通勤ラッシュはイヤだよ」という人は多いと思います。

でも、「イヤ」だと言いつつ、毎日、電車に乗って通勤できています。

kuniちゃんは、乗ると、死んでしまうくらいの恐怖感に教われ、それができなくなってしまっていたのです。

電車に乗れない以上、歩いて行ける範囲で仕事を探すか、それとも、通勤をしなくても良い仕事を探すかのどちらかしか選択肢は無いと思いました。

その間、収入が無い上に医療費もかかるので、当然、切り崩す貯金にも限界があり、ローンも支払えなくなるので、マンションも手放しました。

結局、歩いてゆける範囲での仕事は、残念ながらみつからず、彼は、「自分で、何かをやるしか収入の道はない」と覚悟を決めました。

最初は、「通勤できないから、仕方なしにそれを選ぶ」という気持ちでした。

通勤しないのに、まさかのパニック再発!

パニック障害で仕事復帰
Rewind Photo by hawkexpress

でも、休職中、ぽっかりと空いた時間で、今まで会社で働いていた時間、カフェで過ごしたり、パニック障害をきっかけに心の仕組みを勉強したり、会社員だった頃の生活を振り返ったりするうちに、

「パニック障害は自分が今まで、心と体を無視して、頑張り続けていたことが原因で起こったのだ」と気づき、それとは真逆の生き方をすればいいのではないか?!と、考えるようになりました。

そこで、はじめて、自分にできることってあるかもしれない!と可能性を色々と模索するようになったのです。

そこで、「Webが好きだったので、知識も独学である程度はわかるので、フリーランスで、仕事ができる人になりたい」と、自分が昔、考えていたことを思い出しました。

夢を思い出すと、心に、未来にほんの少し光が射し、少しずつ動きだせるようになったのです。

そして、10年間、彼はフリーでWebの仕事をしながら、元気になり、会社に所属しないで生きてこられました。

しかし、そんな生活も束の間、2012年の8月、再び倒れ、救急車で運ばれてしまったのです。

再発して本当に豊かになれる仕事を探してみた

パニック障害で仕事を休む
Our Paradise...Sunflower Field Photo by Thai Jasmine (Smile..smile...Smile..)

そのとき、彼が一番ショックだったのは、以前の発作はどれも「外出時」に限られていて、自宅で発作が起きた事は無く、

「一番安全だ」と思っていた自宅で発作を起こしてしまったことでした。

なぜ、自宅で倒れてしまったのだろう?自宅も俺にとっては、もはや安全な場所ではないのか?

以前の発作と違う状況はなんだろう?と考えてみたら、

会社員の頃は仕事は外でするけれど、フリーになったら、自宅が仕事場になってしまったことで、沢山の仕事を抱え、時間に終われ、

自宅でフリーで仕事をしているため、365日、24時間いつでもPCで仕事ができてしまう環境が故に、自分の体と心にストレスがかかりすぎてしまっていたことを発見しました。

「パニックが起こるのは、自分の仕事の仕方、生活の仕方に無理しているところがあるのが原因」というのが、彼の考え方です。

倒れたことをきっかけに、今度こそ完治しようと、再び、真剣に自分と向き合いました。

薬を飲みつつ、薬だけで治らない事はもう、十分に承知しているので、心の質を変えようと、病院の認知行動療法と自律訓練法のワークに積極的に参加しました。

他にも、自分の生活も少食、野菜中心に変えたり、体温を上げるために「冷えとり」で靴下を重ね履きしたり、断捨離で家の中を片付けて、本当に自分にとって何が必要か?を考えたり、

そして、「仕事」といえば…。

ロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さん貧乏父さん アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学」にあるように、

気がつけば、会社員とフリーという職業と仕事をする場所は変わったのだけれども、ぐるぐると体力の限り働きまくるラットになり、いつのまにかレースに参加していたことに気がつきました。

一人で抱え込まず、ラットレースにも参加しない仕事のしかた

ラットレースにもう再び参加したくない。今度は、本当に死んでしまう。

死の淵に立たされて、ただ、依頼されたものを「ひとつこなしていくら」ではなく、「今よりも、レバレッジの効いた仕事がしたい!」

そのひとつの仕事をやることによって、もっと大きな事ができたり、多くの効果、多くの収入を生み出せる自分になりたい!と考え方を変えました。

そして、再び、また、彼は新しい仕事の仕方を始めました。

パニックの発作で仕事ができなくなるたびに、彼は休みながら自分と向き合い、その度に、色々な可能性にチャレンジしてきました。

家で具合が悪くてもできる事で、思いつく事を色々試してきました。

自分を見直して、変えることによって、どんどん心も体もラクになっていったので、kuniちゃんは、

「今は、楽しいことしかしない。心や体に迷惑をかけて困らせちゃうからね。

パニックの発作が、自分が間違っていることに気がつかせてくれた気がする。

あのまま会社に行っている自分よりも、今の自分のほうがずっと気に入っている」と。

わたしも、今の、楽しそうなkuniちゃんのほうがずっといい!

そして、わたし自身も、現在は仕事を辞め、kuniちゃんの仕事のお手伝いをしています。

彼が得た、自由で場所を選ばない、仕事のスタイルに憧れたからです。

会社に行けないから、ダメ!ではないんです。

他にも、可能性はいっぱいあります。

パニック障害で、一時期は不安と絶望に、本人も家族も襲われましたが、今では、仕事を休職したことで新たな可能性が広がったことに、

また、私自身の仕事のスタイルを変えてくれたことに、今は感謝しています。